「おきぐすり」って何?


「おきぐすり」のしくみ

「おきぐすり」は、薬事法での正式な名称は「配置販売業」。以前は「売薬」といわれていましたが、昭和18年の薬事法で「売薬」という言葉が廃止されたため、今日では配置販売業と呼ばれています。配置販売業は人間の生命や健康に重大な関係を有するため、薬事法では厳しく制限されています。
販売方法は、配置販売業の許可を得た販売業者や配置員が、直接、消費者の家庭を訪問して、くすりをあらかじめ消費者に預け、次回、訪問したときに消費者が服用した分だけの代金を集めていくというものです。
法律的には「配置販売業」ですが、一般には販売の形態をそのまま表現して「おきぐすり」と呼んでいます。

  • 先に配置販売業者が医薬品をご家庭にお届けします。
  • 身近に置いて、必要なときにご使用下さい。
  • あとでご使用になった分の医薬品の代金の集金と補充に伺います。

「おきぐすり」の種類

越中富山の「反魂丹」、大和の「陀羅尼助」や「奇効丸」「奇効丸」の流れを汲んだ「六神丸」、さらに、甲賀の「万金丹」、肥前田代の「万金膏」などから始まった「おきぐすり」は、その長い歴史の中で幾多の製品を生み出し、ロングセラーとして育ててきました。
現在「おきぐすり」として使用されている薬の種類は、約5,000品目。それらを大別すると、口から飲む内用薬(内服薬)と、口以外のところから 吸収する外用薬に分けることができます。
内用薬には、病気によって溶ける時間や溶け方がちゃんと調節されている「丸剤」「錠剤」「カプセル」などのほか、すぐに溶けて吸収されやすい「粉薬」、なめることで口やノドの粘膜に効く「トローチ」、甘くて飲みやすい「水薬」などがあり、風邪、腹痛、頭痛、などの症状に合わせた調合がされています。
また、外用薬には、「目薬」「点鼻薬」「消毒薬」「うがい薬」「はり薬」「ぬり薬」などの他、肛門から挿入して腸の粘膜や毛細血管に吸収させる「坐薬」、あるいは傷口に直接貼る「絆創膏」などがあります。
こうした数々の薬の多くは、利用者のニーズを正確に察知し、いち早く対応することができる「おきぐすり」のシステムの中から生まれています。


「おきぐすり」の現状と将来

一般薬と一口でいっても、遠く明治以前からある伝承薬、家伝薬、配置薬、薬局で扱われる一般薬、最近の医療薬から転用された新一般医薬品まで、多種多様にわたります。こうした医師の処方箋を必要としない一般薬は、これまでにも手軽なくすりとして、深く生活の中にも浸透してきました。
最近は、厚生労働省から毎月発表される「医薬品・医療用具等安全性情報」にも一般医薬品の情報が増え、PL法の実施やインフォームドコンセントの実施等により、医薬品への関心が高まっています。
なかでも、江戸時代から続くセルフメディケーション(自己治療)の必需品「おきぐすり」はもっともポピュラーな存在です。しかし、最近は、生産の伸び悩み、コストの増加、後継者不足、経営基盤の弱さなど、さまざまな問題を抱えているのが現状。そのため、配置販売業の経営の近代化、経営規模や経営方式の適正化など、配置販売業の振興発展のため、近代化事業に積極的に取り組んでいるところであります。


●生産高の推移と消費者の変化

配置用医薬品の生産額は、年々わずかながら減少しています。原因としては、後継者不足を含めた配置業者数の減少、販売活動の伸び悩みなどが挙げられますが、消費者の変化が大きな問題となっています。
特に、少子・高齢化社会の到来、健康志向の高まり、薬事法を含めた環境の変化、規制緩和、情報化などへの対応は重要です。全国配置薬協会では、これらの状況にあわせた対応策を検討し、早急に進めてまいります。

高齢化社会と福祉
配置従事者は、老人を抱える家庭を直接訪問する機会を持つことから、医療面・福祉面でのサービスを提供していかなければなりません。
健康志向の高まり
消費者の健康に対する願いは強く、知識も豊富になっています。健康保険の自己負担が増え、自分の健康は自分で守ること、すなわちセルフメディテーションへの認識が高まっています。このニーズに配置従事者は積極的かつ、きめ細かく応えることを期待されています。

こうしたさまざまな問題点を解決し、いち早く対応していくことが、長い歴史の中で多くの人に親しまれ、愛されてきた「おきぐすり」の使命だと考えています。


ページの先頭へ